Quantum EspressoをCygwinで動かして遊ぶ話
この世界の材料・化学は量子力学に支配されてるので、量子力学をコンピュータ上に再現すればモノの性質の予言とかがある程度可能です。そういうのを量子化学計算といいます。量子計算というと量子コンピュータを用いた計算のことになるので、必ず量子化学計算といいましょう。
で、いい時代になったもので、量子化学計算は無料ソフトでもかなりのことが可能です。そのソフトをWindows上で動かして遊んでるので、誰かのためにtipsを共有します。なお、Linuxコマンドのcdやlsというごくごく基本的なコマンドぐらいはわかっているものとします。
参考サイト: http://www.stat.phys.titech.ac.jp/SATL_qe_tutorial/preparation.html (2022/4/23閲覧)
というかcygwinで動かすという以外はここ見た方がはるかに体系的だしためになります。
これは2022年4月前半にうまくいった1つの例です。よろしくお願いいたします。
まず入れるのはこの2つ。
Cygwin https://www.cygwin.com/
Quantum Espresso https://www.quantum-espresso.org/
Cygwinを入れる際にはこんな画面で
いろんなパッケージを入れる必要があります。以下のものは入れておきましょう。必要十分ではないかもしれないけどインストールと最初の走らせぐらいはなんとかなります。
gcc-core, gcc-fortran, patch, libtool, autoconf, automake, make, cmake,cppi, openmpi
最初一点計算を動かすところまでなら全部最新版で大丈夫でした。
パッケージを入れずにうっかり入れてしまったら、もう一度cygwin setupを押せば入れてくれます。なんて便利!
で、cygwinを入れたらquantum espressoのパッケージも解凍し、cygwinのフォルダに入れておきましょう。C:\cygwin64\home\(ユーザー名)です。この場所のショートカットを作っておくと便利です。できる人はcygwin上でtarかなんかをつかって解凍してももちろんよいです。
そしたらコンパイル(機械語への翻訳)をします。ちょっと余計なものが入ってますが、lsしてqe-7.0 (7.0かどうかはバージョンによる)がいることを確認、
$ ls
Doc_QE apt-cyg qe-7.0
qe-7.0上で
.configure
して、 容量を気にせず全部やってみたい人はmake allします。
とりあえず一点計算とかをやってみたい人はmake pw, make ppだけでもいいと思います。
結構時間かかるので待ってください。
とりあえず動くか確認します。example01は昔いじくったのでexample02で。
cd qe-7.0/PW/examples/example02$ ./run_example
/home/Ninzi/qe-7.0/PW/examples/example02 : starting
This example shows how to use pw.x to compute the equilibrium geometry
of a simple molecule, CO, and of an Al (001) slab.
In the latter case the relaxation is performed in two ways:
1) using the quasi-Newton BFGS algorithm
2) using a damped dynamics algorithm.
3) using the FIRE algorithm.
executables directory: /home/Ninzi/qe-7.0/bin
pseudo directory: /home/Ninzi/qe-7.0/pseudo
temporary directory: /home/Ninzi/qe-7.0/tempdir
checking that needed directories and files exist...
Downloading O.pz-rrkjus.UPF to /home/Ninzi/qe-7.0/pseudo...
ERROR: /home/Ninzi/qe-7.0/pseudo/O.pz-rrkjus.UPF not existent or not readable
Aborting
しかし動きません。このエラーはつまり、元素の性質設定用のポテンシャルがないやんけ!ということです。用意してやりましょう。
http://pseudopotentials.quantum-espresso.org/legacy_tables
ここからAl, C, Oのポテンシャルをとってきて、名前を変えます。本当はポテンシャルの種類によって結果は変わる可能性があるのでかなりケアが必要なのですが、今回は適当にとってきて名前を変えましょう。今回はあくまでテストで、ポテンシャルが適当なので、結果をそのまま正式な報告に使ってはいけません。
こんな感じで名前を変えて所定の場所に配置。(windowsでいうとC:\cygwin64\home\Ninzi\qe-7.0\pseudo)
するといい感じに走ります。
テキストを読めばQuantum Espressoのコアの1つであるpw.xが読み込まれているどうかはわかると思います。
時間は少々かかりますが、 これでテスト完了です。やったね!
以上、半分自分用メモでした。
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